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「これ溶かすとジュースになるんだよ」
粉末ジュース
小さな袋を破いて水に入れると、みるみるオレンジ色や紫色に染まっていく。グレープ、メロン、レモン——人工的なのに、どこか本物より鮮やかな甘さ。駄菓子屋の棚に並んだカラフルな小袋は10円か20円で、お小遣いの計算をしながら選んだ。水の量を少なくして濃くするのが通のやり方で、粉のまま舐める強者もいた。プラスチックのコップに浮かぶ溶け残りの粉を指でかき混ぜた、あの台所の午後。本物のジュースが特別な日にしか飲めなかった時代の、特別じゃない日の味。
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