Index No.
「おばあちゃん、ピースください。」
角のたばこ屋
通りの角に必ずあった、ガラスケースの小さな窓口。ショートホープ、ピース、ゴールデンバット——名前は知らなくても、銘柄の缶や箱の色は体で覚えていた。「おつかいでタバコ買ってきて」と頼まれ、銘柄を忘れないように口の中で繰り返しながら走った子も多いはず。番をしているのはたいてい腰の曲がったおばあちゃんで、釣り銭は小さな皿に置いてくれた。いつの間にかコンビニに変わり、角の窓口は消えた。あの石畳の質感と、煙草の甘い匂いが混じる空気。
まだ録音はありません。