Index No.
「いらっしゃいませ、何階でございますか」
デパート(お買い物)
白い手袋をはめたエレベーターガールが、扉の前で深くお辞儀をする。子どものころ、デパートに来るだけで一日が「特別」になった。屋上には観覧車や豆汽車が走り、おもちゃ売り場では30分が5分のように過ぎた。大食堂のお子様ランチには必ず小旗が刺さっていて、それをもらうためだけに行儀よくできた。階段を降りると漂うコーヒーと化粧品の混ざった匂い、包装紙のかさかさした感触、閉店間際に流れるあのメロディ。三越・高島屋・そごう——どの名前にも、連れて行ってもらった日の空気が染み込んでいる。今はもう何かが変わってしまったけれど、あの高揚感の記憶はどこかにある。
まだ録音はありません。