Index No.
「屋上へどうぞ。」
デパートの屋上遊園地
エレベーターのドアが開くと、急に空が広がった。デパートの屋上は、買い物という大人の用事からこっそり切り取られた子どもだけの時間だった。100円玉を握りしめて並んだ電動の汽車、ぎこちなく回る小さな観覧車、風に乗ってくるポップコーンとわたがしの甘い煙。伊勢丹にも、西武にも、地方のどんな百貨店にも、あの少し錆びた楽園があった。大人に連れられて来た「ご褒美の場所」は、やがて改装のたびに消えていき、気づけばどこにもなくなっていた。あの風の感触を、まだ覚えているだろうか。
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