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「砂はどこへでも入りこむ」
砂の女
昆虫採集に来た男が、砂丘の集落に一夜の宿を借りる。翌朝、梯子は消えていた。安部公房が1962年に書き、勅使河原宏が1964年に映画化した「砂の女」は、岸田今日子と岡田英次という顔とともに、砂のざらつきを映像に焼きつけた。カンヌ審査員特別賞。逃げようとするほど砂に埋まり、脱出の機会が来ても男は動かなくなる——その変容がなぜこれほど腑に落ちてしまうのか。砂が靴の中に入り込む感触、穴の底の湿った空気、女の静けさ。読んだ夜より、しばらく経ってから思い出す種類の物語だった。
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