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「なんでもあります、顔なじみもいます。」
よろず屋
入り口の引き戸を開けると、醤油と石鹸と煮干しの匂いがいっぺんに押し寄せてきた。棚には洗い粉の隣に飴玉が並び、冷蔵庫の扉には自家製のポスターが貼られていた。「おばちゃん、つけといて」の一言が通じて、月末に母親が払いに行く——それがよろず屋の経済だった。コンビニどころかスーパーさえまだ少なかった時代、町内に一軒のよろず屋が地域の台所であり、井戸端であり、子どもの溜まり場でもあった。カウンターの奥でテレビをつけながら編み物をしていたおばちゃんの顔を、今も思い出せる人はきっと多いはずだ。
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