Index No.
「指一本で、答えが出る。」
電卓の登場
最初に電卓を触ったとき、あの軽い押し心地と液晶の数字の光に、何か世界が変わる予感がした。1960年代末、カシオの「カシオミニ」が出る前夜、電卓はまだ机一面を占領するほど大きく、値段は車一台に匹敵した。シャープ、キヤノン、日立が性能と価格を削り合う「電卓戦争」の中で、機械はみるみる手のひらサイズへと縮んでいく。算盤塾に通っていた子どもたちが「もうそろばんは要らなくなるのか」と思い始めたあの頃。パチパチと弾いていた珠の感触と、キーを叩く硬い感触が、記憶の中で並んでいる。
まだ録音はありません。