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「もっと高く飛ばせ!」
竹とんぼ
両手の平で軸をぎゅっと挟み、思い切りこするように回して離す——うまくいくと竹の翼がふわりと浮き上がり、夏の入道雲の方へ吸い込まれていくように見えた。誰が一番高く飛ばせるか、誰のが一番長く滞空するか、空き地で何十回も試した。材料は竹だけで、接着剤も電池も要らない。それなのに空を飛ぶ、という事実が子どもには十分に魔法だった。ドラえもんがタケコプターを頭に乗せて飛び去るシーンを見るたびに、あの夏の空き地の風の感触が一緒によみがえる人が、きっとどこかにいる。
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