Index No.
「ぜったい濡らしてやる。」
水鉄砲
プラスチックのボディに水を吸い込ませて、引き金を引く。細い水の線が夏の光の中できらりと弧を描いた。狙いをつけて走りながら撃つと、すぐに水が切れる。チョロチョロにしか出なくなったら、近所の水道か庭のバケツまで全力疾走。Tシャツがびしょびしょでも、母親に怒られるとわかっていても、そんなことはどうでもよかった。アサガオが咲いた塀沿いの路地、照り返しが痛い午後二時。水鉄砲はいつも夏の一番熱い場所にいた。スーパーソーカーが登場するまで、あの小さな銃が最強の武器だった。
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