Index No.
「とけないうちに食べなさい」
金平糖
角がいくつあるか、指で数えようとして諦めた。あの不思議な突起は、職人が何日もかけて砂糖の蜜をかけ続けることで生まれる——そんな話を知ったのはずっと後のことで、子どものころはただ、透き通った色のつぶつぶを掌に乗せて、ひとつずつ舌の上で転がすだけだった。赤、青、黄色、白。ガラス瓶や紙袋に入って並ぶ金平糖は、駄菓子屋の棚でひときわ品があって、なんとなく「おねだりしにくいお菓子」だった。溶けながら甘くなる、あの独特のざらりとした舌触り。西洋から来たはずなのに、どこか日本の縁日や茶道具の記憶と重なる。
まだ録音はありません。