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「生きろ。」
もののけ姫
たった二文字と句点一つが、1997年の夏を埋め尽くした。宮崎駿が16年温め続けた物語の中で、アシタカは呪いの腕を抱えて西へ向かい、サンは山犬とともに森の側に立ち続ける。シシ神の池に朝霧が立ち込める静けさ、タタラ場の火の粉と鉄の焦げた匂い、エボシ御前の迷いのない目線。善と悪を切り分けることを作品がどこまでも拒むから、見終わった後に何かが胸に引っかかって取れない。興行収入214億円という数字より、あの夏に映画館の暗がりで感じた息苦しさと解放感のほうを、先に思い出す人の方が多いかもしれない。
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