Index No.
「千尋、早く来い」
千と千尋の神隠し
2001年夏、映画館を出た後しばらく自分の名前を確認したくなった。両親が豚になる場面の唐突な恐怖、湯婆婆に「千」と呼ばれた千尋の表情、カオナシが廊下を塞ぐ夜の湿った空気——あの映像は五感に直接触れてきた。ハクと夜の空を走るシーンの冷たさ、銭婆の家の炉端の静かな温もり、電車が水の上を滑る不思議な午後の光。「名前を奪われたら帰れなくなる」という恐怖は、子どもの夢に何度も侵入してきた。興行収入316億円、ベルリン金熊賞——数字はすごいが、あの夏休みに感じた「現実に戻れない感じ」のほうがずっとリアルだった。あなたはどの場面で息を止めたか。
まだ録音はありません。