Index No.
「このデータ、消していい?」
メモリーカード
灰色の薄い板を、本体の横スロットに差し込む。カチッという感触で、ゲームの続きが生きていることを確認する儀式。15ブロックという壁はつねに迫ってきて、FF7のセーブが三つもあれば残りはほとんどない。「どれを消すか」の選択は、どのRPGのラスボスよりも残酷だった。サードパーティの大容量カードを信じてみたら、ある朝すべてのデータが消えていた、という話は誰もが一度は聞いた。抜き差しするたびに走った緊張と、ブロック残量を確認するあの慎重さ——デジタルの記憶がまだ、あんなにも脆くて愛おしかった頃。
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