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「だるまさんがころんだ。」
だるまさんが転んだ
壁に顔を向けて、息継ぎも忘れるほど早口で唱える。「だるまさんがころんだ!」——振り返った瞬間、校庭が一瞬で彫刻になる。動いた、動いた。指さされた子の顔が赤くなり、笑いをこらえきれずに肩が震える。関東では「だるまさんがころんだ」、関西では「ぼんさんがへをこいた」、地域によって唱え言葉がまるで違うと知ったのは、ずいぶん大人になってからだ。砂埃が舞う放課後、ランドセルを脇に積み上げて、夕暮れのチャイムが鳴るまで続けた。鬼と呼ばれる役が、あの日だけはちょっとうらやましかった。
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