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「10円で、口の中がまるごと駄菓子屋になる」
酢だこさん太郎
薄い赤いパッケージを引きちぎると、ぷんと酢の匂いが鼻をついた。シート状のその一枚を舌に乗せた瞬間、ピリッとした酸味と、なんとも言えないタコ風味が広がる。菓道の酢だこさん太郎は、10円という値段からは到底想像できないほど、記憶に深く刺さっている。駄菓子屋のガラスケースの前でどれにしようか眺めた時間、財布代わりの小さな巾着、レジ横に無造作に積まれた束——あの光景ごと、あの味は保存されている。何十年経っても、あの酸っぱさは舌の奥で正確に再生される。
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