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「まだ光ってない、もっと磨いて」
泥団子
砂場の隅、日なたのコンクリートの上でしゃがんで、ひたすら手のひらで丸める。水をほんの少し、指先で乗せて、服の袖でこすって、また水、またこすって。乾いてくると表面がつるりと光りはじめる——その瞬間のために、午後がまるごと消えた。ピカピカの泥団子はひびが入ればやり直し、落とせば終わり。完成しても誰かに見せたら最後、「おれにも作り方教えて」と人が集まってくる。道具はなにもいらない。地面と水と、じっと集中できる時間だけあればよかった。あなたが一番うまく作れたのは、何年生の夏だったろう。
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