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「巻き戻しはお済みですか。」
レンタルビデオ店
自動ドアをくぐると、ほんのり黴びた匂いとプラスチックケースの感触が待っていた。新作コーナーは常に借りられていて、ジャケ写だけで判断したB級作品が思いがけず面白かったりした。TSUTAYAの会員カード、GEOの黄色い袋、そして名前も知らない街の個人店の手書きPOP。延滞金の計算をしながら「もう一回だけ」と巻き戻しボタンを押す。カーテンの向こうに踏み込む勇気はなかったけれど、その存在感だけは覚えている。あの棚の前で何を選んだか、もう思い出せないものもある。
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