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「接着剤の匂いが、少年の本気だった。」
プラモデル屋
商店街の奥、少し薄暗いガラスケースの中に、タミヤの戦車、ハセガワの零戦、バンダイのザクが並んでいた。完成見本はどれも神々しく、自分に作れるのかという不安と、絶対に作ってみせるという覚悟が入り混じっていた。店主のおじさんの「これはパーツが細かいから難しいぞ」の一言に、逆に火がついた。接着剤のツンとした匂い、筆で塗った水性塗料がにじむ感触、ランナーからパーツを切り出すときのニッパーの手応え。完成したとき机の上に飾った誇らしさ。あのプラモデル屋は、ものを作ることの喜びを最初に教えてくれた場所だった。
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