Index No.
「10円でなに買う?」
駄菓子屋の定番
ガラスケースの向こうに、色とりどりの小宇宙が広がっている。蒲焼さん太郎、よっちゃんイカ、うまい棒めんたい味、酢だこさん太郎、ブタメン——どれも10円か20円。握りしめた小遣いは100円あれば大富豪だった。おばちゃんに指さして「これとこれとこれ」と告げる時の真剣さは、今どんな買い物にもない。ビニール袋に入れてもらった戦利品をポケットに突っ込み、友達と並んで食べながら帰る放課後。あの迷う時間の長さが、贅沢だったと気づいたのはずっと後のことだ。
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