Index No.
「首から鍵をぶら下げて。」
鍵っ子
ランドセルのひもに通した鍵が、歩くたびにコツコツと胸に当たる。玄関を開けると、しんとした暗い廊下。「ただいま」と言っても返事がない。冷蔵庫からプリンを出して、ひとりでアニメを見ながら夕方を過ごした。怖いわけじゃないけれど、窓の外が橙色に染まってくると少しだけ焦った。高度経済成長期、工場でも会社でも親たちは走り続けていた。鍵っ子という言葉には、時代の速度と、子どもたちのひそかな孤独と、それでも案外たくましかった放課後が、ぎゅっと詰まっている。あなたはあの鍵を、どこに下げていたか。
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