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「10円で、どこまでも幸せになれる」
蒲焼さん太郎
駄菓子屋の軒先、プラスチックの袋にひらひらと吊るされた蒲焼さん太郎。菓道が世に送り出したこの薄い一枚に、うなぎの蒲焼の甘辛い記憶が詰まっていた。袋を開けた瞬間に広がる醤油とみりんの香り、指先に残るベタッとした感触、噛みちぎるたびに滲む濃い味。10円玉一枚と交換される、あの小さな幸福。友達と分けっこして、ゲームに負けた子が余った一枚を横取りして。駄菓子屋のガラスケースの前で過ごした放課後は、蒲焼さん太郎の匂いとセットで頭のどこかに仕舞われている。
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