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「わたくし、生まれも育ちも葛飾柴又でございます。」
男はつらいよ
盆と正月、映画館の座席に寅さんがいた。渥美清が演じた車寅次郎は、47年間にわたって50本の映画に登場し、その都度マドンナに恋をして、毎回やさしく振られた。柴又の帝釈天参道、とらやの団子、さくらの微笑み——同じ風景が繰り返されるのに、毎回どこかで涙をこぼしてしまう。倍賞千恵子の「お兄ちゃん」という一声、山田洋次の画面に満ちる下町の空気、寅次郎が夕暮れの路地を去っていく後ろ姿。笑って、泣いて、また笑った。あなたが初めて寅さんを観たのは、誰かの隣のあの映画館だったか、それとも正月のテレビの前だったか。
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