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「一点物が、自分になる。」
古着屋
下北沢の細い路地を折れると、埃と防虫剤と古い布の混ざり合った、あの独特の匂いがした。ぎゅうぎゅうのラックを端から端まで掻き分けて、リーバイス501のセルビッチを探す。原宿のキャット・ストリートでは、フリース素材のミリタリーコートを羽織る若者がいて、高円寺では古いバンドTシャツが一枚ずつ丁寧に壁に貼られていた。新品には絶対ない「誰かが生きた痕」が、そのまま自分のものになる感覚。「これどこで買ったの?」と聞かれたとき、店の名前じゃなく「見つけた」と答えていた。あのラック漁りのドキドキは、宝くじよりずっとリアルだった。
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