Index No.
「位置について、よーい……」
マラソン大会
冬の朝、体育着の上に重ねたジャージ越しにも風が刺さる。スタートラインに並んだ瞬間だけ、学校の順位も成績も関係なくなった。呼吸を整える間もなくピストルが鳴り、坂道で足がもつれ、折り返し地点でいちばん早い奴の背中がもう豆粒になっていた。給水所で差し出された紙コップの水が、あんなに冷たくてうまかったことは後にも先にもない。ゴールテープを越えた瞬間の、脚の痛みと誇らしさが混ざったあの感触——何キロだったか、もう正確には思い出せない。
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