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「指で押すたびに、未来が計算された」
電卓戦争
カシオ、シャープ、キヤノン、ビジコン——国産メーカーが火花を散らした電卓戦争は、机の上の巨人を手のひらの薄板へと圧縮していく、20世紀最大の縮小劇だった。100万円を超えた計算機が、10年足らずで数千円になる。その価格崩壊の裏で、LSI技術が猛烈な速度で進化していた。学校の引き出しにそっと忍ばせたカシオのミニ電卓、父親の机の上にあった黒くて重い一台——電卓に触れた瞬間のプラスチックキーの感触が、あの時代のテクノロジーへの興奮を今も手のひらに呼び戻す。
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