Index No.
「俺が打つ、お前が捕れ。」
草野球
空き地さえあればよかった。グローブは一チームに二つか三つ、バットは板の切れ端で代用し、外野の境界線は電柱か誰かのカバンだった。三角ベースなら少人数でも試合になって、ピッチャーはワンバウンドの山なりを投げ、キャッチャーは素手で構えた。審判は誰もいないから、セーフかアウトかは毎回揉めた。夕暮れが来ると母親の呼ぶ声が団地の棟の隙間から飛んできて、それが試合終了のサイレン代わりだった。泥だらけのズックを脱ぎながら、明日もまた集まれると疑わなかった。
まだ録音はありません。