Index No.
「ジーコロコロ、ジーコロコロ。」
ダイヤル式電話
指を穴に引っかけて、右端まで回して、離す。戻っていくダイヤルの「ジーコロコロ……」という音は、呼び出し音が鳴り始める前の、小さな緊張感だった。0や9が多い電話番号はやたら時間がかかって、急いでいる時に限ってそういう番号だった。回し途中で滑って失敗したら、また最初から。プッシュ式への憧れを募らせながら、それでも黒い受話器を耳に当てた瞬間の「もしもし」は、声の輪郭がどこか温かかった。あの重たい受話器の感触と、ダイヤルの戻る音——何番に電話しようとしていたか、思い出せる気がする。
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