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「猪鹿蝶!」
花札
正月のこたつ、あるいは盆の縁側。祖父がすっと手を伸ばして場に出した一枚の光沢ある小さな札。松に鶴、菊に盃、桐に鳳凰——48枚それぞれの絵柄には、季節の移ろいが描かれている。「猪鹿蝶」「月見酒」「花見酒」、役の名前を覚えることが、大人の仲間入りのような気がした。切り札を出すタイミングを読む祖父の表情、場を制した瞬間に漏れるため息。花札はゲームであると同時に、誰かの家の記憶と結びついている。あのこたつの向こうで、誰が手札を握っていたか、もう一度思い返してみてほしい。
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