Index No.
「「0840」──数字が言葉になった時代。」
ポケベル
公衆電話のボタンを押す指先が、どこかそわそわしていた。相手のポケベルに送り込む数字の羅列――「0840」でおはよう、「14106」で愛してる、「724106」でなにしてる。ピピピッと鳴った瞬間、胸が跳ねた。折り返しの電話を待ちながら受話器を握る、あの数十秒の緊張感は、スマートフォンのどの通知音にも再現できない。荒井由実ならぬ国武万里の「ポケベルが鳴らなくて」が有線から流れるファミレスで、ポケベルの番号を交換した夜もあった。文字も声も届かないのに、あの小さな受信機はたしかに「気持ち」を運んでいた。
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