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「未来が、手首に来た。」
デジタル時計
針が時を刻む代わりに、赤いLEDの数字がパッと点灯した。1973年前後、デジタル時計を腕に巻いた人はそれだけで「最先端」だった。カシオ、セイコー、シチズン——各社がしのぎを削るなか、液晶が登場してストップウォッチ機能が付き、やがて電卓まで内蔵された。授業中こっそりストップウォッチを動かして、友達と数字を見せ合ったあの感触。アナログの文字盤を読む必要がなくなった日、何かが変わった気がした。あのデジタルの光が「未来」という言葉と完全に重なっていた、最初で最後の時代だったかもしれない。
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