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「缶を振る音がした」
サクマドロップス
カラカラ、と振ると中で転がる音がする。傾けた赤い缶の口から、するりと転がり出てくる色とりどりのひとつぶ。ハッカの白、いちごの赤、レモンの黄色——何色が来るかで一喜一憂した。スースーするやつは子どもに不人気で、争奪戦になる色があった。高畑勲の『火垂るの墓』で節子がサクマ式ドロップスの空き缶に水を溜めるシーンを見て、胸が痛くなった人は多いはずだ。あの缶の金属のひんやりした感触と、口の中でじわじわ広がる甘さ。誰かと分け合ったあの記憶は、今どこにしまってある。
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