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「この世ならざるものと、この世に生きる。」
蟲師
ギンコがタバコの煙を吐きながら、霧の中を一人で歩いていく——「蟲師」のあの静けさは、2005年のアニメの中でひときわ異質だった。光る川、耳の中に住む蟲、記憶を食べるもの——漆原友紀の描く「蟲」は怪異でも敵でもなく、ただそこに在るものとして描かれた。アートランドの背景美術は水墨画のような奥行きを持ち、音楽の余白が物語の湿度を作っていた。一話が終わるたびに、何かを喪ったような、でも満たされたような感覚が残った。自然と人間の境界が曖昧になる、あの世界の手触りを、どこかで探している気がする。
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