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「やめられない、とまらない。」
柿の種
あの赤い袋を開けた瞬間、もう終わりだと分かっている。三日月形の小さなあられが指先にまとわりつく醤油と唐辛子の香り、ピーナッツの油っぽさとのバランス——気づいたら袋の底を指でなぞっている。亀田製菓の柿の種は1966年生まれ。長距離バスの膝の上、テレビの前の座卓、父親のビールのそばに必ずいた。「柿の種とピーナッツ、どっちから先に食べるか」で家族の性格が出る、なんて話を誰かとした覚えがある。その配合比率をめぐる議論は、あの小さな袋が人をどれだけ本気にさせるかの証明だ。
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