Index No.
「カラーテレビが来た日のこと、覚えてる?」
三C時代
ある朝、リビングの隅に箱が届いた。ブラウン管の画面に色がついた瞬間、家族全員が声を上げた——そういう記憶が、1960年代後半の日本のどこかにある。カラーテレビ(Color)、クーラー(Cooler)、カー(Car)。三つのCは単なる家電ではなく、「うちも豊かになれた」という証明だった。団地の部屋にクーラーの室外機が取り付けられ、一家で乗り込むマイカーが日曜の行楽地へと向かう。白黒だった日常に色が差し込んでくるような、あの高揚感。三Cをすべて揃えた家と、まだ揃えていない家の間に、小さくて大きな差があった時代のことを、誰かはまだ覚えているはずだ。
まだ録音はありません。