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「山田、打て!」
ドカベン
山田太郎の構えは、どこか違った。少年チャンピオンのページをめくる指先に力が入って、息を止めながら次のコマを見た。里中の細腕から繰り出すカーブ、岩鬼の悪球打ち、殿馬の秘打・都都逸打ち——水島新司が描く明訓高校の面々は、架空のはずなのに本物の選手よりも体温があった。甲子園の土の匂い、汗と砂埃の夏。1976年にはアニメも始まり、土曜の朝が変わった。野球をやっていない子でも「山田なら打てる」と信じていた——あの、根拠のない確信の感触を覚えているか。
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