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「10円玉、あと何枚あった?」
10円ゲーム
駄菓子屋の奥、薄暗い棚の横に必ずあった小さな筐体。10円を入れてレバーを倒すだけの操作なのに、なぜかどうしても取れなくて、また財布をまさぐった。スマートボール、クレーンゲームの原型、モグラ叩きの亜種——機種の名前なんてわからなかったが、あの台の前に並んで順番を待つ儀式は毎週あった。100円のゲームセンターには敷居があったから、10円ゲームは子どもたちにとって本当の意味での最初のアーケード体験だったかもしれない。ポケットの底に残った硬貨を握りしめて、あと一回だけと決めた午後の時間が、今でもどこかに残っている気がする。
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