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「埼玉銘菓、五家宝。」
五家宝
おばあちゃんの家の茶の間、仏壇の隣の菓子器にいつも入っていた。もち米を芯にして、飴で固め、きな粉をまぶした棒状の和菓子——見た目に華やかさはないのに、噛むたびに香ばしさがじんわりと広がった。熊谷や行田の土産物屋で何十本も束になって売られていた五家宝は、誰かが持ってくるたびに「ああ、これ」とすぐわかる味だった。上等でも珍しくもない、でも食べると妙に安心する。そのさりげなさが、いまになって愛おしい。あなたの記憶の中にも、あの茶色い棒菓子はあるだろうか。
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