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「やぁやぁ、勝負!」
チャンバラごっこ
拾った棒切れが刀になった瞬間、空き地は時代劇の舞台に変わった。「俺が正義の侍だ」「じゃあ俺が悪者」——役の割り振りから口喧嘩になるのも、チャンバラごっこの様式美だった。時代劇が茶の間を支配していたあの頃、子供たちは勝新太郎や三船敏郎の身振りを吸収して、そのまま外へ飛び出した。竹刀代わりの枝、盾代わりのランドセル、決め台詞は各自の自由研究。汗だくで戦って、「死んだ!」「まだ死んでない!」と言い張るやりとりが、夕暮れまで続いた。風呂上がりにタオルを頭に巻いてひとり稽古した記憶がある人は、きっと少なくない。
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