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「うちは、ここにおります。」
この世界の片隅に
水彩絵の具を溶かしたような空の色と、のんの声が重なって、すずさんが絵を描く手がゆっくり動く。昭和の呉の路地、配給の乏しい食卓、それでも続く日常のやわらかさ——片渕須直監督が六年かけて積み上げた細部のひとつひとつが、観る者の胸に静かに沈んでいった。クラウドファンディングで2,000人以上が出資し、63館から始まった上映がやがて300館を超えた。戦争を描きながら、これほど穏やかで、これほど痛い映画があっただろうか。すずさんが空を見上げるたびに、自分の日常のことを、ふと考えてしまう。
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