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「笹の葉さらさら、のきばに揺れる」
笹舟
笹の葉を一枚むしって、両端を折り曲げて差し込む。それだけで小さな舟が生まれた。小川の流れに乗せた瞬間、どこへ行くともなくゆらゆら進んでいく——そこには説明書も電池もなかった。夏草の匂い、素足に触れる冷たい水、岸を並走する自分の影。どんぐりや木の実で積み荷を乗せてみたり、枝で速さを競ったり。やがて笹舟は緩やかなカーブの向こうに消え、追いかけた足が止まる。その小さな喪失感がなぜか気持ちよかった。材料費ゼロ、作り方は親から子へ口伝えで。自然と指先だけで成立していた遊びの感触、まだ手が覚えているかもしれない。
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