Index No.
「玄関、掃除した?」
家庭訪問
その日だけ、家の空気が違った。普段は脱ぎっぱなしの靴が揃えられて、座布団が出てきて、母がいつもと違う湯呑みを棚から出している。家庭訪問は年に一度だけ、先生が「こちら側」に来る日。玄関のチャイムが鳴った瞬間のあの緊張感、廊下に正座して聞こえてくる「お宅のお子さんは……」という声、聞いてはいけないのに足音を殺して近づいた縁側の板の冷たさ。学校での自分と家での自分が一瞬だけ重なる、奇妙でちょっとだけ怖い午後。先生が帰った後のお茶菓子を一人で食べた時の、あのほっとした甘さを覚えている?
まだ録音はありません。