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「ジャスコ行こ。」
ジャスコ
土曜の午後、親の車の後部座席から見えてくる赤い看板——「JUSCO」の文字だけで、心拍数が上がった。食品売場の揚げたてのコロッケの匂い、衣料品フロアの蛍光灯の白さ、そしておもちゃ売場への最短ルートはとっくに暗記していた。フードコートのうどんは薄味だったけれど、あそこで食べるうどんだけが正解だった。地方の郊外にとってジャスコは「百貨店」であり「公園」であり「社交場」だった。イオンという名前に変わってからも、地元の人はしばらく「ジャスコ」と呼び続けた。その呼び名に残っていたのは、看板ではなくて記憶の方だった。
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