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「缶けり、解放!」
缶蹴り
「缶けり、解放!」——その叫びと同時に、捕まっていた全員が走り出す。空き缶をめがけて助けに来る仲間を警戒しながら、鬼は缶を見守り続ける。缶を蹴った瞬間の金属音、飛び散る石ころ、土ぼこりの匂い。かくれんぼより激しく、鬼ごっこより頭を使う——路地裏や空き地が生んだ最高難度の遊びだった。上級生のテクニック、後輩を囮に使う非情な作戦、日が暮れるまで終わらない攻防。「もう帰りなさい」という声が遠くから届いても、もう一回だけと缶を置き直した。あの角を曲がれば、まだ誰かが息を潜めて待っている気がする。
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