Index No.
「すぱっと一本、やってみな。」
ココアシガレット
駄菓子屋の木のケースの中に、タバコと見分けがつかない赤いパッケージが並んでいた。オリオンのココアシガレット。箱から一本抜いて唇にくわえると、なんだか急に背が高くなったような気がした。白い棒にうっすらついたピンク色の先端と、ふわっと広がるかすかなコアの香り。大人の真似をしているのに、口の中に広がるのはどこまでも子どもの甘さ。指にはさんで歩いてみたり、煙草のCMの台詞を真似してみたり——あの背伸びの午後が、どこか照れくさくて、でも最高に楽しかった理由は何だったのだろう。
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