Index No.
「財布、忘れてきた。でも大丈夫。」
おサイフケータイ
改札の前でポケットを探らずに、ケータイをそのままかざす。ピッという音一つで通り抜ける感触が、初めての時は少し不思議だった。モバイルSuicaを設定した朝から、定期入れを出す動作が習慣ごと消えていった。コンビニのレジで小銭を探す時間がなくなり、Edyのチャージ残高を気にしながら帰り道を歩いた。「ケータイさえあれば」という言葉が現実になった手触りを、あの薄いプラスチックの筐体越しに確かに感じていた。今では当たり前になりすぎて、あれが最初に驚きだったことを忘れそうになる。
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